三途の川のお茶屋さん


けれど私の言葉に、懸人さんはくしゃりと顔を歪めた。

「ふざけるな、ふざけるなっ! いつだってお前には幸福なゴールが用意されている! 古では私に与えられていた地位も将来の栄誉も、両親の愛情も全てお前が奪った! そうして人の身に落ちてなお、お前はまた十夜という伴侶を足掛かりに天界に君臨しようというのか!? 何故お前にはいつも栄光ばかりが付き纏い、私の手には何一つ残らない!?」
「うあぁっ!!」


懸人さんが突如、後ろのタツ江さんに襲いかかった。懸人さんが手負いという油断もあったのだろう、タツ江さんは突然の反撃に対応が遅れた。

強く殴られて、タツ江さんが後ろに傾ぐ。懸人さんを拘束していたタツ江さんの手が離れた。

「タツ江さん!」

懸人さんは追い縋ろうとするタツ江さんを振り払い、私の乗る船に迫った。

「っ! 船を、船を早くお出しよっっ!」



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