三途の川のお茶屋さん


「十夜待て、儂も同行しよう」

!?
それは、天界の最高権力者が口にするには、あまりにも予想外の言葉だった。しかし俺に否やなどあろうはずもなく、俺は神威様と共に対岸に向けて発った。

「神威様、懸人とは何者なのでしょう? あれとタツ江婆は、どういった関係にあるのですか?」

対岸に駆けながら、神威様に映像だけでは読み解けぬ燻る疑問を投げかけた。何故、あの場にタツ江婆があったのか? 

「神にあらず、人にあらず、そういう意味では使徒にも当て嵌まろう」

神威様の答えはまるで言葉遊びだ。

「のう十夜、タツ江は何者だ?」
「神格を剥奪された、あぶれ神ではないのですか? 何度注意しても盗み癖が抜けずに、役目を追われたと聞き及んでおりますが?」

「では十夜、何故タツ江は尊い女神の身でありながら、死に人の持ち物などを盗み続けた?」

……言われてみれば、おかしな話だった。確かに死に人の持ち物など、天界の物に比べれば取るに足らないガラクタにも等しい。



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