三途の川のお茶屋さん
「そもそも其方が幸子さんに他の男神を宛がうなど、許すはずもなかったのだ。しかし元はと言えば、お前が煮え切らん態度だったのがいかんのだぞ。さっさとお前達が夫婦となっていれば、こうも天界を騒がせる事も無かった」
「それに関しては、返す言葉もございません。けれど神威様、今度こそ俺は幸子と夫婦になります。幸子は誰にも、渡しません」
「幸子さんの了承も取らぬ内からまた、随分と大きく出たものじゃな。……いや、了承はもう間もなく得られるのか。さて、まずは其方の嫁子を無事に助け出さんとな」
神威様は柔らかな表情から一転、引き締まった表情で眼下を見下ろした。俺と神威様は対岸の上空に差し掛かっていた。
懸人の渡し船を、遠く視界に捉えた。