三途の川のお茶屋さん
十夜は苦虫を噛み潰したような顔をして、不満そうに零した。
「ほっほっほっ。十夜は、儂が出向いていけば何用で来たのかと、邪険にするじゃろうに。そうそう幸子さん、仁王も同じ事を言っておったから、今度また仁王と訪ねさせていただきます」
「仁王様まで『ほほえみ茶屋』に来ているのですか!?」
十夜は仁王さんも来ていると聞かされて、驚きの声を上げる。
「仁王様は物見遊山で足を運ぶ方じゃない……。幸子、赤銅色の濃い肌に、灰色の短髪の客に覚えはないか?」
「……十夜、言おうかどうか随分と迷ったんです。私は仁王さんに会っています」
「! もしや仁王様から、何か厳しい事を言われたのではないか?」
十夜は私の肩に手を置いて、心配そうに窺い見た。
「いいえ、むしろ仁王さんは十夜が閻魔帳を不当に呼び寄せた罪に目を瞑って、私に選択肢を示してくれました」