三途の川のお茶屋さん
「閻魔帳の正確性は厳密には99.9%。1000人に1人は閻魔帳の寿命を違えるそうです」
十夜の目が、グッと大きく見開かれる。
「十夜、悟志さんはもう、亡くなっています」
口にした瞬間、十夜の表情が固まった。
まるで、時が止まったかのようだった。
十夜の唇が小さく戦慄いて、何事か話そうとしているようだった。けれど震える唇は、声を紡げない。
「……99.9%にあぶれちゃうって、なんだか逆に凄いですよね。仁王さんに聞かされた時は涙が止まらなかったけど、今は素直に受け止めているんです。だから十夜、私はもう何を理由にもしません。私の想う心に従えばいいって、分かっているんです」
「……幸子、俺は知識として1000人に1人が閻魔帳の寿命を違える事を知っていた」
十夜の声は掠れていた。
そうして、悲壮感の篭る声だった。
十夜は、震える拳をグッと握り締めた。