三途の川のお茶屋さん
「けれどまさか、それに悟志が当て嵌まるなど思いもせず……。これは俺の、慢心だ。幸子――」
「謝らないで下さい」
十夜の続く言葉を、私は明確な意図をもって遮った。
「だってこれは、誰のせいでもない。もちろん、十夜のせいでもありません。待つ事を決めたのは、他ならない私です。そしてなにより、その時間こそが私と十夜の縁を結んでくれました」
見開かれた十夜の目。
「……幸子には、敵わない」
その目の奥の紫が、萌ゆるような鮮やかさで煌く。
「そんなふうに言われてしまっては、俺の心の葛藤も全てが意味をなさん。俺が安易に謝罪を重ねる事にもまた、なんの意味もない。ならば幸子、俺が約束できるのは、これから先の未来だ。俺は一生涯、幸子に愛を尽くす。幸子、俺の妻になって欲しい」