三途の川のお茶屋さん




食卓を挟んだ向かい、十夜にチラリと目線を向ける。

十夜は、絶妙の甘さと焼き加減のフレンチトーストがいたく気に入った様子で、ご満悦だった。

「十夜も、夢って見ますか?」

十夜があらかた食べ終えたところで、水を向けてみた。

「夢くらい誰だって見るだろう?」

……そうか。神様でも、夢は見るんだ。

私にとっては、はじめて知る衝撃の事実だ。けれど今、私が聞きたいのはそこではない。

「なら、同じ夢を繰り返し見る事ってありますか?」

十夜は首を傾げて、少し考える素振りを見せる。

「うむ。……ない事も、ないな」

長い間を置いて、十夜は随分と歯切れ悪く答えた。

十夜が繰り返し見る、夢。なんだかそれは、とても意味がある物のように感じた。

「それってどんな夢ですか?」

俗世と切り離され、長い時を生きる十夜。その十夜が、繰り返し見る夢が持つ意味……。

それには何かのヒントが、隠れているかもしれない。



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