三途の川のお茶屋さん
「……あまり、言いたくない」
十夜は私からツイっと視線を逸らし、ぶっきらぼうに告げた。
言いたくない、の前に、あまり、と付いていた……。十夜には申し訳ないが、私はかなり、聞きたい。
私は自分の皿に三分の一ほど残るフレンチトーストを、フォークとナイフで器用に掴み上げると、十夜の皿に素早く移動させた。
「!」
それを横目に見て、十夜が目を輝かせたのを私は見逃さない。
「食べきれなくなっちゃったので、よかったら十夜が食べてくれますか?」
これは決して賄賂ではない。
純粋に、満腹になってしまったので、十夜に協力を願ったのだ。
「……繰り返し見る夢なんてひとつしなかい」
十夜は溜息を吐くと、フォークで目の前のフレンチトーストを一刺しした。
フレンチトーストは、十夜の口を割らせるのに十分な効力を発揮してくれたらしい。
私は続く言葉を、生唾を呑んで待った。