三途の川のお茶屋さん


「……ありがとう、タツ江ちゃん」

背を向けた私の頬に、おばちゃんの言の葉がひらりと舞って消えた。



そうしておばちゃんは死出の山で静かな贖罪の日々を過ごしながら、神格から考えれば短すぎる生涯に幕を閉じた。

おばちゃんと旦那さんの命の灯が消えてすぐ、担当官が確認のために死出の山に向かった。けれど不思議な事に、おばちゃんと旦那さんの骸は見つからなかったらしい。

ところが驚く事に、暗く殺風景だった死出の山に、翌年から曼珠沙華と曼荼羅華が咲き誇るようになった。死出の山を訪ねた知人から、興奮気味に死出の山の花畑の美しさを聞かされた。

あたしはいつか死出の山を訪ね、咲き誇る曼珠沙華と曼荼羅華に手を合わせたいと思った。

だけどその時はあたし一人じゃない。懸人と幸子さんを伴って、共に手を合わせたい。





< 325 / 329 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop