三途の川のお茶屋さん





「懸人、知っているか? 人の世では嫁姑のいがみ合いがとても多いぞ。あたしゃ人道にほど近い場所を住処にしてたからね、暇つぶしにいがみ合う様を眺めて笑ってたもんさ」

阿修羅の道を並び立って進む。

もうずっとずっと長い時、こうして懸人と他愛のない話をしながら歩いてきた。

一体どれ程の時を歩んできたのかは、想像も出来ない。けれどずっと、こうして手を取り合って共に苦難を乗り越えて歩いた。

「そうか……。タツ江、母上と其方であればいがみ合いなど無縁であっただろうな」

いつの頃からか、歩き続ける事を苦とも感じぬようになった。襲い掛かる難にも、ここのところはもうずっと遭っていない。

「母は優しかった。それにとても綺麗だった。私は子供心に美しい母が自慢だった」

同じ頃から、他愛もない懸人との無駄話に過去が入り混じるようになった。



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