三途の川のお茶屋さん


「おばちゃんは素敵な女性だったな。あたしだって幼い時分から、ずっと憧れていたよ」

恨みつらみではない、懸人が語る、穏やかで優しい過去。

「けれど、本当に強く美しく、誰よりも愛情深いのはタツ江だ」

ギョッとして、隣の懸人を振りかぶる。

冗談にしたって照れくさくて、落ち着かなかった。

「な、なんだい急に! んもう、馬鹿をお言いじゃないよ。あたしゃもう、シワシワのお婆さんじゃろうよ」

けれど見上げた懸人は、欠片も笑っていない。真摯な瞳で、射抜くようにあたしを見ていた。

動揺から、咄嗟に繋いだ手を解こうとした。



< 327 / 329 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop