三途の川のお茶屋さん


「一人寝の夜に、情交に溺れる夢を見た事は一度や二度じゃない」

十夜は言い切ると、ひと口でフレンチトーストを頬張った。

「ふん。……むぐむぐっ」

私は咀嚼する十夜を、目を丸くして見つめていた。

「……え? え! えぇぇぇええええっ!?」

そうして一拍を置いて、やっと理解が追いつけば、羞恥の大波が私を呑み込む。頬に、一瞬で朱が昇る。

「聞いてきたのは幸子だぞ?」

思いもよらない十夜の夢の告白に、私は動揺しきりだ。

「……さて。飯も食ったし、さっさと出ないと開店に間に合わないぞ?」

真っ赤になってあたふたとする私を尻目に、十夜はひと息吐くと涼しい顔で席を立つ。

「え! あ、ほんとですね!」

言われてみれば、もうすっかりいい時間。

私も十夜の後に続き、あたふたと『ほほえみ茶屋』に向かった。



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