三途の川のお茶屋さん
私情に突き動かされて十夜に甘え、お客様を蔑ろにした自分自身が、恥ずかしかった。
「ありがとうございます。私はもう、大丈夫です。どうぞ掛けて下さい? それで私のお団子を食べていって下さい」
私は袖で涙を拭うと、凛と顔を上げてお母さんに告げた。
「まぁ、ふふふ。ありがたく、ごちそうになろうかしらね」
「はいっ」
私は足早に厨房に向かうと、お礼と、この先の仕事を自分で熟す事を十夜に伝えた。
十夜は私の目を見て頷て、トンッと私の肩を叩くと店内に戻っていった。
その後は、続々と新しいお客様が入店した。
私は全てのお客様に分け隔てなく、サービスを提供した。そんな私の姿を、お母さんと、そして十夜が、微笑んで見つめていた。