キスすらできない。
なんて反則な…。
クソッ……可愛い。
いやいや、これでも私は怒ってるんですからね!
笑っている姿に内心絆されつつも、表面的には不貞腐れをアピールしてそっぽを向けば。
「フッ…怒ってるのか?」
「怒ってますよ!ってか、そこ確認しますっ!?私を無理矢理怒らせたの先生でしょ!?」
「うん、リハビリ効果で実に良い傾向。やれば出来るじゃないかピヨちゃんは」
「馬鹿にしてます?絶対に馬鹿にしてますよね?からかってますよね?」
「フッ、クックックッ、まあ怒るな。ご褒美に…ほら、もう一個甘~いご褒美の特効薬やるから」
そう言って目の前にチラつかせてきたのは可愛らしい絵柄の小さな缶なのだ。
パカリと蓋をあけた中には先程口に放り込まれたものと同じであろうボンボンキャンディが詰まっていてついついゴクリ。
だって、あれは美味しかった。
柚子酒のリキュールが口から鼻に抜けて甘くて爽やかでトロやかで…。
この誘惑にはついつい負け気味に視線をチラリチラリ。
当然そんな自分の反応は先生にはバレバレで、
「ほら、口あけて」
「っ……負けたのは先生にじゃないですから、甘味にですから」
そんな負け惜しみを一つ零すと、目の前に摘まみだされていたそれに素直に口を開いたのだ。