キスすらできない。


次の瞬間には舌の上で甘味蕩ける……

「っ____」

筈……が……。

いや……蕩けたは蕩けた。

甘いと言えば甘い。

「っ……はっ……ん___」

極甘で………

甘すぎる。

脳天が痺れるくらいに…………

先生のキスは甘すぎる。

広がると思い込んでいた甘味の代わり。

真っ先に広がったのは先生の呼吸で、それに驚愕するより早く絡みついてきた舌の感触には思考がフリーズした。

予想外過ぎて。

まったくそんな構えをしていなかった。

構えをしていなかったものだから余計にされている事への認識が遅れてしまって。

馬鹿な誤作動から『えっ?ボンボンは?』なんて現実逃避も良いとこな一言が過りかけた程。

結局は過る前にキスされていると認識が追い付いたわけで。

追い付いてしまえば………体内発火。

一瞬でドロンと溶け落ちる程の。

だって、先生の唇が、

舌が、

唾液や呼吸が……。

自分のそれらと絡んでリキュールより強烈な甘さと酔いを与えにくる。

あ……あっ……。

本……当…に?

今……先生とキス………私……。

「っ…はぁっ……先……んんっ___」

ちょっとの隙。

困惑を整えようと僅かに身を引き声を挟ませてみれば、直後には顎を掴み拘束する指の感触と壁に押し付けられた自分の体と。

逃げ場がなくなり更に重なり深くなった口づけには呼吸がままならなくて涙まで浮かぶ。

まるで喋るなと言わんばかりに舌を絡めとられる濃密なキスにはまともな意識が追い付かない。


< 163 / 167 >

この作品をシェア

pagetop