社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】
修努は答えない。返事に迷ってるんだ。

「社長、私はここで失礼させていただきます
ので、この後はどうぞプライベートをお楽しみ
ください。」

と私から言った。

修努はそれ以上断る事も出来ず、

「では、浩子さん、行きましょうか。」

と浩子さんを伴って、部屋を出て行った。


残された私は、満井社長に一礼して、退室しようとすると、呼び止められた。

「君は賢明な判断ができる秘書のようだ。
どうだろう。
私の秘書をやらないか?」

修努の秘書をやめて?

確かに修努がこのまま浩子さんと結婚する事になったら、私は修努の秘書ではいられない。

そんなのお互いに辛すぎる。

だけど…

「ありがたいお話ですが、私は安井の下を動く
つもりはございません。
折角のご厚意ですのに、申し訳ございません。」

私は頭を下げた。
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