社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】
11時50分。

社長特権で、お店が混む前にランチに出る。

修ちゃんが連れてきてくれたのは、女の子が好きそうなイタリアンのお店。

「社長は、ここには、よくいらっしゃる
んですか?」

私が聞くと、

「いや。
今日は、男の目が少ない所に行きたかった
から。」

いやいや、どういう基準?

こういう女子が多い店は、イケメンの修ちゃんが視線に晒されるよ?

で、私が値踏みされる。

修ちゃん、女子の生態が分かってないなぁ。

「のどかは何食べる?」

メニューを広げて、聞いてくるが…

「社長。ここは、社長室ではありません。
他者の目もありますので、『佐倉』とお呼び
ください。」

「佐倉さん、何食べる?」

修ちゃんはため息をひとつ吐いて、言い直してくれた。
< 89 / 257 >

この作品をシェア

pagetop