決して結ばれることのない、赤い糸
そして、現在に至る。



「隼人とは、2年も3年も同じクラスだったの。それになんか気が合っちゃって、隼人のことは異性として見たことなんてないよ」


なんなら、これまでに好きな人の相談もしたことがあるとか。

隼人とはなんでも話せる仲なんだそう。


「でも、もしかしたら隼人はクミちゃんのことを――」

「ないない!それに隼人、好きな人いるしね」

「…えっ。そうなの…?」

「うん。さっき少し言いかけたけど、たぶん隼人…、ずっとかりんちゃんのことを想ってたんだよ」


隼人が…わたしのことを?


「記憶はなくても、心が憶えてたんじゃないかな。だって隼人、いつも隣でだれかが笑ってくれていた気がするって言ってたから」


クミちゃんから聞かされる話に、わたしは目の奥が熱くなった。

まさか、隼人がそんなことを話していたとは知らなかったから。
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