決して結ばれることのない、赤い糸
そう言うわたしを見て、なぜだかクミちゃんのほうがもどかしそうだった。


隼人の気持ちも知っていて、わたしの気持ちも知ってしまったクミちゃん。

それなのに、なにもできない自分が歯がゆい様子だった。



カフェを出ると、さっきまで激しく降っていた雨が止んでいた。


「ちょうどいいタイミングで止んでよかっ――」

「本当にいいの?…このままで」


空を見上げるわたしの顔をクミちゃんが覗き込む。


「2人とも想い合ってるのに、こんなの…切なすぎるよ」

「いいの。隼人と再会できただけで、奇跡だと思ってるから」


わたしはクミちゃんに笑ってみせる。

これが、わたしなりの精一杯の強がりだった。



クミちゃんと別れ、わたしは駅に向かう。

カフェから駅までは、歩道橋を渡ってすぐだった。
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