決して結ばれることのない、赤い糸
階段に足を置くたび、ぴちょんと階段に薄くたまった雨水が跳ねる。


『本当にいいの?…このままで』


自分の中では気持ちの整理がついているはずなのに、クミちゃんの言葉が頭の中で繰り返される。


階段を上り、たくさんの車が行き交う大通りの上を渡り、下りの階段に差しかかった…そのとき。


「広瀬さん…?」


ふと聞こえたわたしを呼ぶ声に、くるりと振り返ると――。


「はやっ……、瀧くん…!」


そこには隼人が立っていた。

さっきクミちゃんと隼人の話をしていたから、とっさに『隼人』と言いそうになってしまった。


「今から帰るところ?…あっ、そうか!今日はクミと…」

「うん。さっきまで、そこのカフェで話してて」

「そっか。ちゃんとお礼してもらえた?」

「カフェオレとケーキをごちそうしてもらったよ」
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