決して結ばれることのない、赤い糸
「それならよかった」


隼人は目を細めて微笑む。


「…瀧くんは?駅前まで買い物?」

「そうなんだよ。ノートを切らしてたことにさっき気づいて。ジョギングついでに寮から走ってきた」


だから、サッカー部のジャージ姿だったのか。


「そしたら、前に広瀬さんによく似た人を見つけたから声をかけてみた」


部活終わりに、明日使うノートがないことに気づいた隼人は、こうして駅前のお店まで買いにきたんだそう。

そこで、歩道橋を渡るわたしを見つけたらしい。


わたしたちは、並んで階段を下りる。


隼人と…歩道橋。

思い出されるのは、あの事故のときの記憶――。


『邪魔だ!!どけっ、ガキ!』

『…きゃっ!』

『かりんー!!』


…あれで、隼人は記憶喪失に。


こことは別の場所だったとはいえ、あのときの光景が重なる。
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