決して結ばれることのない、赤い糸
――そのせいで、ぼうっとしていたからだろうか。


「広瀬さん?」


隣にいた隼人に声をかけてきた。


ハッとして我に返ったわたしは、その声に体がビクッと反応してしまい、思わず階段から足を踏み外してしまった…!


「…きゃっ」


小さな悲鳴が漏れる。


「広瀬さん…!!」


それに気づいた隼人が、すばやくわたしの手をつかもうとする。


一瞬にして、あのときの記憶がフラッシュバックする。


ダメっ…。

このままだと、またあの日と同じことになってしまうから…!


だから、わたしはとっさに隼人の手を振り払った。


そして、バランスを崩したわたしの体は、階段下へ真っ逆さまに――。



ふと、暗闇の中に…わたしを呼ぶ声がする。


「かりん」


この声は、…隼人だ。


「かりん、いつまで寝るつもり?」
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