決して結ばれることのない、赤い糸
すると目の前に現れたのは、天川高校の制服を着た隼人だった。


「でもよかった。かりんの目が覚めて」

「おはよう、かりん」


そう言って、柔らかく微笑む隼人。


何度も繰り返される『かりん』の名前。

わたしの名前を呼ぶ、隼人の声が好きだった。


…でも、これは夢だ。


なぜなら、高校生の隼人は、わたしのことを『かりん』となんて呼ばないから。


だから、これは夢なんだ。



――ゆっくりとまぶたを開ける。


ほら…、やっぱり。

夢だとは思っていたけど、一方で、夢じゃなかったらいいのにと心のどこかで願っていた。


しかし残念ながら、わたしは現実の世界に引き戻されてしまった。


ゆっくりと体を起こす。


保健師にあるような硬いベッドの上に寝かされていたようだ。


ここ…、どこ?
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