決して結ばれることのない、赤い糸
隼人いわく、鷹さんはお酒に強い人らしいのだけれど――。

すでに、顔がほんのり赤くなっている。


「それにしても、ほんと隼人は兄貴そっくりだな」


ふと鷹さんが、そんなことを口にした。


「…兄貴?鷹さんって兄弟いたの?」


隼人にとっても初耳なのか、キョトンとした顔をして聞き返す。


「あっ…、つい口が。…まぁいい。いたよ、2個上に兄貴が」

「へ〜、知らなかった。今までそんな話、したことなかったじゃん。…でも、『いたよ』って?」

「交通事故で死んだんだよ。オレが14のときに」


ロックのウイスキーをひと口飲む鷹さん。

その瞳は、どこか遠くを見つめていた。


「そんなしんみりすんなって!もう昔のことだ。それに、会うたび隼人は兄貴にそっくりになっていくから、見ていて楽しいんだよ」
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