決して結ばれることのない、赤い糸
お盆休み中の今は、隼人は寮ではなく実家に帰っていた。

だけど、隼人の新しい家はわたしの家とは真逆の方向。


だから遠慮して、隼人は鷹さんの部屋に泊めてもらうことにしたんだそう。


「俺は男だからどこに泊まったっていいけど、かりんは別だよ。家に帰れるならそうしたほうがいい」


隼人はわたしの頭をぽんぽんっとなでる。


「それに、そうしてくれたほうが俺も安心だから」と付け加えて微笑んだ。



それから、1時間ほどして再びお母さんから着信が入る。


〈かりん。『Falcon』っていうお店でいいんだっけ?たぶん、そこの前に着いたんだけど〉

〈わかった!じゃあ、今から出るから待ってて〉


わたしはお泊りの荷物の入ったバッグを肩にかける。


お店のドアを開けると、ハザードランプをつけた黒色の軽自動車が停まっていた。
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