決して結ばれることのない、赤い糸
荒れ狂う空。


しかしそれは、本当の嵐の前触れにすぎなかった――。



わたしは、クリーニングから返ってきた制服にかかっているビニールを剥がした。


夏休みは今日まで。

明日から新学期だ。


お母さんは、友達と会ってくるとかで、昼過ぎから出かけている。


明日の学校の準備が終わると、わたしは家の掃除をしていた。


掃除機をかけていたとき、ふとだれかの視線を感じたような気がした。

振り返ると、そこにあったのはなっちゃんの写真。


「なんだ、なっちゃんかっ」


なっちゃんの写真が入った写真立てを、柔らかい布でなでるように拭く。


「はいっ。これできれいになったよ」


わたしが微笑んでみせると、なっちゃんもいつにも増して笑ってくれているような気がした。



「遅くなってごめん…!」
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