決して結ばれることのない、赤い糸
18時頃、お母さんが帰ってきた。


「帰りにスーパーでお惣菜買ってきたんだけど、今日はこれでもいいかな…?」

「わたしはかまわないよ。遅くなるんだったら、連絡してくれたらなにか作っておいたのに」

「ごめんね。久々に会ったから、つい話し込んじゃって」


お母さんはスーパーの袋を持って、キッチンにやってきた。


そのとき…一瞬、お母さんから知ったことのある匂いがした。


この匂い…。


「…お母さん。今日会ってた友達って、…鷹さん?」


わたしのその言葉に、驚いたように振り返るお母さん。


「な…なに急にっ。…鷹さんって、隼人くんの親戚の人でしょ?なんでお母さんがその人と――」

「だって、お母さんの服…。鷹さんがお店で焚いてたお香の匂いがするから」

「えっ…」


お母さんの表情がこわばる。
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