決して結ばれることのない、赤い糸
今度は、カズが隼人を壁に押さえつける。


「お前は、よく好きだった女を一方的に振って…平然としていられるよな!?」


そんなカズから視線を逸らす隼人。


「それに、かりんはそこらへんにいるような普通の女とは違うだろ!ずっとお前のことを想い続けてて…」


てっきり、隼人とカズの仲はなにも変わっていないと思って安心していたけど、それは私がそうしてほしいと言ったから。

本当は、カズはずっと隼人に言いたいことがあったんだ。


それが、今になって爆発した。


「こんなあっさり振るくらいなら、また好きになるなよな!!」


寡黙なカズが、わたしの言葉を代弁するように隼人に訴えかけている。

隼人は、なにかを我慢するように唇を噛みしめていた。


「もう好きじゃないなら、かりんの目の前から――」
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