決して結ばれることのない、赤い糸
「…好きに決まってんだろっ!!」


怒鳴り声に近いような隼人の声が廊下に響き渡る。


突然のことで…驚く。

でもそれは、一層大きな声が響いたからではない。


隼人…今、わたしのことを――。


「…好きに決まってるだろ。今でも…ずっと」


ハアハアと肩で息をして、威嚇するようにカズをにらみつける隼人。

するとカズは、なぜだかフッと笑った。


「ようやく正直になりやがって…。言うのが遅ぇよ、バカ隼人」


カズは隼人の胸ぐらから手を離した。


「『好きな人ができた』って聞いたときは、正直…軽蔑した。でも、かりんと別れてからのお前見てたら、無理してるのなんてすぐにわかった。それなのに、ずっとだんまりしてるから」


初めは、わたしを一方的に振った隼人に腹が立っていたカズ。


だけど、なにか理由があると悟った。
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