決して結ばれることのない、赤い糸
しかし、親友であるにも関わらず、なにも相談してこないことに、カズは一番怒っていたんだ。


「隼人がこの場に居合わせたのは偶然だけど、お前の本音聞くにはいいタイミングだと思った」


だから、カズはあえて隼人が冷静でいられなくなるように、ああして煽ったのだ。


「好きなら好きって、そう言えよ。それに、お互いが納得するまでちゃんと話をしろ」


カズは、わたしと隼人に目を向ける。


「かりん。ノートはオレが持って行くから、今から隼人と話してこいよ」

「…えっ、今から…!?」

「それは急すぎだろ、カズ…!俺だって部活が――」

「『急な体調不良で、保健室で休んでいます』…そう伝えておくから戻ってくんな!」


ニッと笑って隼人の背中を押すカズ。


「お前が気持ちを曖昧にするなら、オレがかりんをもらうからな。それが嫌なら、かりんに今の気持ちを正直にぶつけろ」
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