決して結ばれることのない、赤い糸
カズは握り拳をつくると、それで隼人の胸をトントンと叩いた。

それに対して、隼人はゆっくりとうなずく。


カズのおかげで、わたしは隼人と久々に2人の時間をつくることができた。


わたしたちは、屋上へ。

隼人に別れ話をされた…あの屋上だ。


「…かりん。傷つけて…ごめん」


わたしのほうを向き直ると、視線を落としながら謝った。


「ううん…、もういいの。それよりも、隼人の本当の気持ち…聞かせて?」


さっきのことが事実なら、隼人は今でもわたしのことが好き――。

そう思って…いいんだよね?


「好きな人ができたっていうのは…」

「…あれは嘘。適当な理由が見つからなくて、ああ言っただけ」

「じゃあ…どうして?なんで別れてほしいなんて…」


わたしは、隼人のジャージの裾をつまんで見上げる。
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