爽やかくんの為せるワザ



「藍も藍だぞ」


「え?」




次にカツのターゲットになったのは俺だった。

じぃっとこちらを見つめて、カツは拳を握る。




「俺はたまちゃんのことよく知らないけど、藍は今たまちゃんに気遣ってんだろ?

でもそんなん関係なくさ、〝絶対俺のこと好きにさせる〟くらいの覚悟持てよ!」





……絶対……

俺のこと好きにさせる……。



そっか。


俺……そんなこと考えたことなかった。


相手の気持ちを尊重しなくちゃって……ずっと……。

珠姫ちゃんには運命の人がちゃんといるんだって思ってた。



でも、それって……俺でも〝なれる〟んじゃないかな。


〝運命の人〟って……もしかしたら俺なのかもって……思っていいんじゃないかな。




「せっっかく好きな人見つけたんだから、もっとガンガン行けよ!覚悟持って告白して、関係変えてみせろよ!」


「何この青春ドラマ」



熱く主張するカツを横目に、緒方は小さく呟く。



……覚悟。



珠姫ちゃんを、

俺が幸せにしてみせる。


……ってことだよね。

うん。


珠姫ちゃんを幸せにできるのは

〝誰か〟じゃなくて、


〝俺〟じゃないと。



友達想いで、人の為に動ける優しい子。


……なんか言うの恥ずかしいけど、フィーリングが合うというか……一緒にいて落ち着くんだよね。




「カツ、ありがとう」


「おう!良い報告待ってるからな」


「緒方もありがとうね。俺頑張るから」


「うん……ごめんね藍くん。応援してる」




カツや緒方がいなかったら、こんな風に覚悟持つこともなかったな、きっと。


本当にありがとう、2人とも。



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