爽やかくんの為せるワザ



今、何が起きた?

何が起きてる?


佐賀くんに……私は今、抱き締められてるんだよね……?



ぎゅうと抱き締める力が強くなって、私は改めて現状を把握した。




「さ、佐賀くんっ?」


「……迷惑なんて思ったことない」




ドキドキと心臓が鳴り止まない。

でもそれは私だけじゃなくて、佐賀くんからも伝わってきた。




「僕が……どれだけ成瀬さんに感謝してるか、伝わって欲しい」


「……」




静かな保健室に佐賀くんの少し力強い声が響く。


今の言葉で、かなり伝わった気がした。

こんな私を励まそうとしてくれてる佐賀くん。


なんだかその気持ちだけで……泣きそうになる。



そして耳元で佐賀くんがすうっと深呼吸をするのが聞こえた。





「……成瀬さん、好きです」





ぽつりと、発せられたその言葉。



私は目を見開いて固まってしまう。





「…………え」


「ごめん……伝えるつもりも、成瀬さんを困らせるつもりもなかったんだけど……」




佐賀くんが……私を好き?

今のは紛れもなく告白だよね……。



……なんでだろう。

すごく驚いてるのに、どこか納得できたような感覚がある。



――あ、そっか。

私……薄々佐賀くんの気持ちに気付いてたのかもしれない。




〝成瀬さんは……素敵だよ〟


〝僕に好かれたとして……成瀬さんも嬉しいって思ってくれる?〟




あの時感じた不思議な空気感。


それは……佐賀くんが私に好意を示してくれてたからだったんだ。



……でも、改まってみるとすごい信じ難いことだよね。



だってあの佐賀くんが
私を好きだなんて……。



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