爽やかくんの為せるワザ
「な、成瀬ぇ〜!」
感動しながら無意識で成瀬に抱きつこうとすると、成瀬以外の全員から止められた。
そして足立には蹴られた。
「皆……まじでありがとう」
皆の言う通りだ。
花恋ちゃんが他の男と上手くいくのを、今の俺は応援出来ない。
前より仲良くなれた花恋ちゃんとの関係が壊れるのは嫌だけど。
これで何もしないのは、違う。
伝えなきゃ花恋ちゃんに一生伝わらない。
「俺、やっぱり花恋ちゃんに告白する!!」
拳を握って声を張り上げる。
皆が「おお」「よく言った」と賞賛してくれた。
「振られるかもしれねぇけど、そん時は慰めてくれよな!」
「おう、当たり前じゃん」
カツが歯を見せて笑ってくれる。
嬉しい。
すっげぇ怖いし不安だけど、皆がいるから大丈夫だ。
きっと告白した俺を褒めてくれる。
それだけで勇気がリンリンと湧いてくるぜー!
「よっしゃああああ!!待ってろ花恋ちゃぁぁん!!」
「うるせぇー」
「……あのー……」
ふと、耳を塞ぐ足立とは違う声が、離れた所から聞こえてきた。
全員の視線が声のした教室の扉へ集中する。