爽やかくんの為せるワザ



「な、成瀬ぇ〜!」




感動しながら無意識で成瀬に抱きつこうとすると、成瀬以外の全員から止められた。

そして足立には蹴られた。



「皆……まじでありがとう」



皆の言う通りだ。

花恋ちゃんが他の男と上手くいくのを、今の俺は応援出来ない。


前より仲良くなれた花恋ちゃんとの関係が壊れるのは嫌だけど。

これで何もしないのは、違う。


伝えなきゃ花恋ちゃんに一生伝わらない。




「俺、やっぱり花恋ちゃんに告白する!!」




拳を握って声を張り上げる。

皆が「おお」「よく言った」と賞賛してくれた。




「振られるかもしれねぇけど、そん時は慰めてくれよな!」


「おう、当たり前じゃん」



カツが歯を見せて笑ってくれる。

嬉しい。



すっげぇ怖いし不安だけど、皆がいるから大丈夫だ。

きっと告白した俺を褒めてくれる。


それだけで勇気がリンリンと湧いてくるぜー!




「よっしゃああああ!!待ってろ花恋ちゃぁぁん!!」


「うるせぇー」



「……あのー……」



ふと、耳を塞ぐ足立とは違う声が、離れた所から聞こえてきた。


全員の視線が声のした教室の扉へ集中する。


< 303 / 311 >

この作品をシェア

pagetop