爽やかくんの為せるワザ




「おい、敬吾」



ふと聞こえた足立の声。

振り返ると、真剣な表情を俺に向けていた。




「え……」


「どうすんだよ」



ど……どうって……。

逆にどうしたらいいんだ!?


俺もう、なんか頭の中パニックで何も考えらんないんだけど!




「こ、こんな形で伝わるなんて思ってなかったし……」


「じゃあ逃げんのか?」


「……え?」


「むしろチャンスだろ。今、ここで、伝えるチャンス」


「チャンス……」






ここで

伝える

チャンス――



――か。




「だな!!」


「頑張れよ」

「敬吾くん……頑張って!」
「頑張れ敬吾!」
「お前ならできる!!」



足立に続いて、他の皆も俺を応援してくれた。

それがすごく心強くて、なんか泣きそうになった。


いや泣いてる場合じゃねぇ!

ちゃんと、花恋ちゃんに告白する。


こんなタイミングで聞こえちゃったのも、まあ俺の蒔いた種だし。

これはチャンスなんだ。


さっきの勢いを思い出せ、俺!


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