爽やかくんの為せるワザ




「そんな風に思ってくれてたなんて知らなかった。……嬉しい」




花恋ちゃんは優しく微笑んでくれる。

そのあまりの可愛さに、俺の顔は更に熱くなった。




「敬吾くんは皆に好かれてて、面白くて、一緒にいて楽しくて……最近仲良くなりだしたけど、私も敬吾くんって良い人だなって思ってた」


「……か、花恋ちゃん……っ」


「……でも」




花恋ちゃんの表情は少し曇る。

その瞬間、俺は結果を悟った。




「敬吾くんのことは好きだけど、敬吾くんの気持ちと同じでは……きっとない」


「……」




ドキドキと早く打っていた鼓動が、次第にゆっくりとおさまっていく。


申し訳なさそうに顔を歪める花恋ちゃん。

そんな花恋ちゃんを見てるのが何より辛く感じた。



……でも、そんな顔させてるのは俺なんだよな。




「だから敬吾くん」


「……はい」


「1週間だけ……私に時間をくれないかな」




………………え?

んん?


どういうことだ?

てっきりもう『ごめんなさい』って断られると思ってたんだけど。


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