爽やかくんの為せるワザ




「ま、クラスから1名ずつってなってるけど多い分には問題ないから希望者はどんどん言ってくれってさ。
たまサラ出る?」


「バーカ。出るわけねぇだろあたしが」


「私は桃ちゃんが適役だと思う。可愛いもん!」


「あー、たまの優しさが身に染みる。ありがとね、ちゃんと出るよ」




柔らかい笑顔を浮かべながら、桃ちゃんは優しい手つきで私の頭をよしよしと撫でてくれる。



桃ちゃんは本当に可愛い。

そして人一倍頑張ってる。


だからミスコンに優勝出来る出来ないは関係なくて、せめてそういうところでくらい桃ちゃんを賞賛したっていいんじゃないかな。





「緒方〜、ミスコン出るんだって?」




スマホを片手にこちらに近づいて来たのは敬吾くんだった。

あら、もう敬吾くんも知ってたんだ。





「1組の奴からメッセージ来て知ったんだけどさ。
男子は誰出すの?」


「んー、私は佐賀くんがいいなと思うんだけど」


「佐賀?」




少しきょとんとする敬吾くんを含め、私達は教室の隅で静かに本を読んでいる佐賀くんに目を向ける。


窓から差し込む陽の光に照らされている佐賀くんは、まるで1枚の絵画のように繊細で美しかった。


眉目秀麗なそのお顔はじっと手元の本に向けられており、見ていると思わずうっとりしてしまうほど。



……うん。

佐賀くんはミスターコンに出ても全くおかしくない。



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