爽やかくんの為せるワザ
「佐賀だな!また俺から声掛けてみるわ!」
「よろしく。でも佐賀くんが嫌そうだったら強要はしないでね」
「分かってる!」
ぐっと親指を向けた桃ちゃんに、敬吾くんも同じように親指を突き出す。
……今年のミスコンとミスターコンは更に面白くなりそうだ。
「てか!!花恋ちゃん文化祭実行委員になってなかったじゃん!!」
と、突然思い出したかのように敬吾くんは桃ちゃんに迫った。
……あれ?今まで知らなかったの?
「随分今更なこと言うじゃん敬吾」
「委員会でいないの気付いてなかったの?」
「ぶ、文化祭に集中してて忘れてたんだよ……」
唇を尖らせてバツが悪そうに目を泳がせる敬吾くんに、私達3人は顔を見合わせた。
……それって、文化祭の実行委員として真剣に取り組んでくれてたってことだよね?
すごく良い事じゃない?
「敬吾、愛しの花恋を忘れるくらい文化祭に真剣だったんだね。偉いよ君」
「……え?そ、そうかな?」
「そういう良いとこが敬吾にはあるんだからさ、花恋もその敬吾の良さに気付けば振り向いてくれるかもしれないよ」
「……そうかなぁ!?」
桃ちゃんの言葉に、どんどん声を高くしていく敬吾くん。
その表情は今や自信で満たされていた。
……こういうのを単純って言うのかもしれない。