転生少女が落ちたのは、意地悪王子の腕の中~不器用な溺愛は何よりも甘いのです~
「気にしなくていい。今日は偶然王都まで来たので立ち寄っただけだ」
「いいえ、そういうわけにはいきません。殿下にこの建物を建てていただいて、私共は感謝してもし切れないほどの思いなのですから」
「……えっ?」
困惑に声を上げた私に目で頷いて、どうぞ中に入られてください、と女性は扉を押さえた。
女性に先導されて歩く私たちに群がる子どもたち。私は子どもが好きだったので慣れてくると顔が緩んで仕方がなかったのだけれど、殿下は子どもは大丈夫なんだろうかと不安になる。
わからないなあ、と横目で盗み見ると、見たこともない優しい笑顔を向けていた。話しかけてくる少女の言葉を身を屈めて聞きながら頻りに相槌を打っている。
……意外。子どもなんて面倒臭い、くらいのことは言いそうだと思っていた。
かっこいいのも良いんだろう、女の子集団を中心にすぐに人気者になったグイード殿下はしゃがんで目線を合わせると口を開く。
「お前たちに良いものがあるぞ」
わあっと歓声を上げる子どもたち一人一人に先程の景品を渡していく。その様子を見つめる女性の顔は酷く嬉しそうだった。
「あの……ここは?子ども達ばかりが居るように思うのですが」
問いかけた私に女性は穏やかに微笑んだ。
「ここでは身寄りのない子どもや経済状況が苦しくて育てられなくなった子どもを預かっているのです」
「なるほど、孤児院みたいな感じかな……」
「コジイン?」
女性は微妙に違うイントネーションで発音して首を傾げた。どうやらこの施設に名前はついていないらしい。
「あの、あなたは……殿下の恋人ですか?」
「へぇっ!?」
唐突な質問に私はわたわたと意味も無く手を動かして動揺をさらけ出してしまった。その様子を見て女性は軽く声を立てて笑う。
「まあっ私ったら不躾な質問をしてごめんなさい。でも気になってしまって。殿下があんなに柔らかな表情をして女性を見つめられているのを久しぶりに見たもので、つい。お母様が生きていらした時以来かしら……」
「メリアルーラさんを知っているんですか!?」
「ええ、私はメリアルーラと仲が良かったのです。そして息子のグイード殿下とも顔馴染みなのですよ。
あら、名乗ってもいませんでしたね。私はイリンと申します」
「あ……私は舞花です」
まさかこんな所でメリアルーラさんの名前を聞けるなんて。詳しく話をきこうと思った時、景品を配り終えたグイード殿下がこちらに歩いてきた。
「いいえ、そういうわけにはいきません。殿下にこの建物を建てていただいて、私共は感謝してもし切れないほどの思いなのですから」
「……えっ?」
困惑に声を上げた私に目で頷いて、どうぞ中に入られてください、と女性は扉を押さえた。
女性に先導されて歩く私たちに群がる子どもたち。私は子どもが好きだったので慣れてくると顔が緩んで仕方がなかったのだけれど、殿下は子どもは大丈夫なんだろうかと不安になる。
わからないなあ、と横目で盗み見ると、見たこともない優しい笑顔を向けていた。話しかけてくる少女の言葉を身を屈めて聞きながら頻りに相槌を打っている。
……意外。子どもなんて面倒臭い、くらいのことは言いそうだと思っていた。
かっこいいのも良いんだろう、女の子集団を中心にすぐに人気者になったグイード殿下はしゃがんで目線を合わせると口を開く。
「お前たちに良いものがあるぞ」
わあっと歓声を上げる子どもたち一人一人に先程の景品を渡していく。その様子を見つめる女性の顔は酷く嬉しそうだった。
「あの……ここは?子ども達ばかりが居るように思うのですが」
問いかけた私に女性は穏やかに微笑んだ。
「ここでは身寄りのない子どもや経済状況が苦しくて育てられなくなった子どもを預かっているのです」
「なるほど、孤児院みたいな感じかな……」
「コジイン?」
女性は微妙に違うイントネーションで発音して首を傾げた。どうやらこの施設に名前はついていないらしい。
「あの、あなたは……殿下の恋人ですか?」
「へぇっ!?」
唐突な質問に私はわたわたと意味も無く手を動かして動揺をさらけ出してしまった。その様子を見て女性は軽く声を立てて笑う。
「まあっ私ったら不躾な質問をしてごめんなさい。でも気になってしまって。殿下があんなに柔らかな表情をして女性を見つめられているのを久しぶりに見たもので、つい。お母様が生きていらした時以来かしら……」
「メリアルーラさんを知っているんですか!?」
「ええ、私はメリアルーラと仲が良かったのです。そして息子のグイード殿下とも顔馴染みなのですよ。
あら、名乗ってもいませんでしたね。私はイリンと申します」
「あ……私は舞花です」
まさかこんな所でメリアルーラさんの名前を聞けるなんて。詳しく話をきこうと思った時、景品を配り終えたグイード殿下がこちらに歩いてきた。