転生少女が落ちたのは、意地悪王子の腕の中~不器用な溺愛は何よりも甘いのです~
「マザー・イリン。状況はどのような感じだ?」
「殿下のお力添えのお陰で概ね良好です。もう、何度も申し上げておりますがマザーなどと呼ばないでください。私は聖職者などではないのですから」
「そうか?聖職者よりよほど素晴らしい事をしていると思うがな……昔から」
「……ああ、私は元々自分の家で同じようなことをしていたのですよ。ですがやはり限界があって……そんな折、殿下がこの大きな施設を建て、支援してくださったのです」
話についていけていない私にイリンさんが言う。それに頷いて、私はグイード殿下に視線をやる。
「殿下ってこういう話、全然してくれませんよね。知らなかったんですけど」
「別に言うほどのことじゃないだろう、こんなの。王子にできることはたかだかこの程度が限界だ」
それを聞いて堪らず身を乗り出した私をグイード殿下がぎょっとした目で見る。
「殿下、あなたは普段図々しいくせに不思議と時々自己評価が低い時がありますけど、これって十分胸を張っていいと思います。自慢してもいいことです。凄いことです。むしろ張りまくるべきですよ!」
「そ、そうか……しかしやはり褒められるようなことではない。そんなつもりでやったんじゃないからな。単なる自己満足だ」
「ほんっとあなたは強情ですね……」
だからそれが凄いことだって言ってるのに。他人の目を気にしてとか名声のためにとかじゃないから凄いって言ってるのに。
睨み合う2人を交互に見て、イリンさんが吹き出した。
「ご、ごめんなさい。お二人は本当に仲がよろしいんですね」
「仲良くないです!」
「それは否定しないが」
正反対の返事を返した2人の間に再び火花が散る。それをひとり穏やかな目で見つめながら、イリンさんはぽつりと呟いた。
「……よかった。本当によかったです……グイード殿下」
私にはその言葉の真意はわからない。きっとメリアルーラさんとグイード殿下の両方を知る2人にしかわからない。
「殿下が笑うと、メリアルーラを思い出します。そして殿下を笑わせられるのは、マイカ様なのですね」
また顔を出してくださいね、おふたりで。
イリンさんはそう言って、大勢の子ども達と一緒に私たちを見送ってくれた。
「殿下のお力添えのお陰で概ね良好です。もう、何度も申し上げておりますがマザーなどと呼ばないでください。私は聖職者などではないのですから」
「そうか?聖職者よりよほど素晴らしい事をしていると思うがな……昔から」
「……ああ、私は元々自分の家で同じようなことをしていたのですよ。ですがやはり限界があって……そんな折、殿下がこの大きな施設を建て、支援してくださったのです」
話についていけていない私にイリンさんが言う。それに頷いて、私はグイード殿下に視線をやる。
「殿下ってこういう話、全然してくれませんよね。知らなかったんですけど」
「別に言うほどのことじゃないだろう、こんなの。王子にできることはたかだかこの程度が限界だ」
それを聞いて堪らず身を乗り出した私をグイード殿下がぎょっとした目で見る。
「殿下、あなたは普段図々しいくせに不思議と時々自己評価が低い時がありますけど、これって十分胸を張っていいと思います。自慢してもいいことです。凄いことです。むしろ張りまくるべきですよ!」
「そ、そうか……しかしやはり褒められるようなことではない。そんなつもりでやったんじゃないからな。単なる自己満足だ」
「ほんっとあなたは強情ですね……」
だからそれが凄いことだって言ってるのに。他人の目を気にしてとか名声のためにとかじゃないから凄いって言ってるのに。
睨み合う2人を交互に見て、イリンさんが吹き出した。
「ご、ごめんなさい。お二人は本当に仲がよろしいんですね」
「仲良くないです!」
「それは否定しないが」
正反対の返事を返した2人の間に再び火花が散る。それをひとり穏やかな目で見つめながら、イリンさんはぽつりと呟いた。
「……よかった。本当によかったです……グイード殿下」
私にはその言葉の真意はわからない。きっとメリアルーラさんとグイード殿下の両方を知る2人にしかわからない。
「殿下が笑うと、メリアルーラを思い出します。そして殿下を笑わせられるのは、マイカ様なのですね」
また顔を出してくださいね、おふたりで。
イリンさんはそう言って、大勢の子ども達と一緒に私たちを見送ってくれた。