ファンタジー探偵と学園祭
「アイリーンです。よろしくお願いします」
アイリーンが頭を下げると、クラス中から視線を感じた。お伽話と関係のない存在が珍しいからだろう。
「みんな仲良くしてやってくれ。もし仲間はずれにしたらその時は、生徒指導だからな」
三年A組の担任、アンデルセンが言った。アンデルセンは生徒指導の先生だ。
「は〜い!仲良くします!」
ふわふわした金髪のかわいい女の子が言う。アイリーンの後ろの席の人だ。
「私、アリス!空想が大好き!よろしくね」
アイリーンが席に座るなり、後ろからアリスはアイリーンの肩を叩いて自己紹介をした。アリスがそう言った後、アイリーンの隣の席の男子も自己紹介を始めた。
「僕はピーターパン。よろしくね」
ピーターパンは腕に左腕に痛々しいギプスをしている。アイリーンは質問した。
「その腕、どうしたんですか?」
「最近、階段から落ちちゃったんだ。ボーっとしてたから空を飛ぶのを忘れてたよ〜」
「空を飛ぶ?」
「僕らの中には不思議な力を使える人がいるんだ」
ピーターパンが説明した。
「そうなんですか」
アイリーンは驚く演技をした。魔女がいる時点で不思議な力を使える人がいると思っていたのだが、あまりに冷静だと怪しまれると思ったからだ。