ファンタジー探偵と学園祭
「僕はロミオ。よろしくね」

「私は白雪姫。お菓子作りが好きです」

周りの人が次々に自己紹介をしてくる。しばらくみんなと話していると、強い視線を感じた。

「アイリーン、ピーターパン、アリス、ロミオ、白雪姫、今何の時間かちゃんとわかっているのか?」

ニコニコと怒りの笑みを浮かべながら、数学の先生が言う。他のクラスメートは同情の目を向けていた。

授業が始まったことを忘れて夢中で話していたらしい。アイリーンの顔が引きつる。

五人は叱られ、宿題をみんなより多く出されてしまった。

数学の授業が終わった後、ため息をついているアイリーンの元に一人の女の子が近寄ってきた。まるで人形のようにきれいな人だ。

「さっきは災難でしたね。あの先生、たくさんの生徒から怖がられているんです」

きれいな女の子は困ったような笑みを浮かべながら、そう言った。

「そうなんですか…。えっと、あなたは……?」

「私は眠り姫と言います。このクラスの学級委員です。お昼休みに学校を案内します」

そう言い眠り姫は微笑む。同じ女性にこんな人がいるのかとアイリーンは思う。

「ありがとう……。あの、ところで学園祭のことなんだけど……」

眠り姫は何か事件のことについて知っているのかアイリーンは訊こうとした。すると眠り姫は微笑みながら言った。

「私たちのクラスはコスプレカフェをするんです。それに今回の学園祭では、夜にダンスパーティーが行われるんです。女の子はきれいなドレスを着たいとはりきっています」

「そうなんですか」

何も知っていなさそうなので、アイリーンは少しほっとした。あんな物騒なことを誰も知ってほしくない。
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