青い鳥
それにふわっとコロンだろうか、良い香りを感じた。

唇に柔らかいものが重なっている。

目の前には、さっきまでは煩かった男が静かに目を瞑っている。


これ……キス!?


私は思いきり手を前に出して男の胸を突き押すと、「うわっ!」との声と一緒に男は私から離れていってくれた。

私はまたキスされないように素早く唇を手の甲で隠す。

身体はわなわなと震えている。

有り得ない、この男……突然キスするなんて!


「何するのっ!?」

私は怒りで震えながら叫ぶ。


「顔、真っ赤だけど?もしかしてキス初めてなわけ……ないよな?」

男の疑心暗鬼に探るようなその言葉に、意思には反して全身が熱くなる。
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