水の踊り子と幸せのピエロ~不器用な彼の寵愛~
「私、実はおととい、碧に告白したの」
「……えっ! そうなんですか!?」
「碧、あんたには黙っておいてくれたのね。もう、ますます好きになるわ……。振られたけど」
思いきって詳細を聞いてみると、渚は先日の波音との食事の後、告白する決意を固めたそうだ。
大きな溜め息をついて肩を落としながら、渚は自嘲するように乾いた笑い声を出した。
「碧には大事な人がいるって分かっていたから、駄目元だったけど。やっぱり悔しいものよね……」
「……そうでしたか」
「それに、碧ってば全然、私の想いに気付いてなかったわよ? まんまと波音に騙されたわ」
「へっ? う、うそ!? ごめんなさい……!」
あの碧が、渚の好意に気付いていなかったなど、あり得るのか。波音は必死になって謝った。
「だって、私の気持ちとかすぐに見抜いちゃうし。そういうところに、碧さんは鋭いんだろうって思ってて……」
「ものすごくびっくりした顔をされたわ。でも、『ありがとう。これからも曲芸団の一員として支えてくれ』って言ってくれたの。こちらとしては、手酷く振ってくれた方が助かるのに」
「それ、分かります。いっそのこと、嫌いになって忘れられたら……いつまでも引きずらなくて済みますよね」
「そうなのよ……! だから、碧の好きな人って誰だろうって考えていたんだけど。波音、あんたじゃないの?」
目をじっと覗き込まれながらそう言われ、波音は硬直した。渚には、冗談を言っている様子はない。アメシストの瞳に、波音の呆けた顔が映り込んでいる。
「……えっ! そうなんですか!?」
「碧、あんたには黙っておいてくれたのね。もう、ますます好きになるわ……。振られたけど」
思いきって詳細を聞いてみると、渚は先日の波音との食事の後、告白する決意を固めたそうだ。
大きな溜め息をついて肩を落としながら、渚は自嘲するように乾いた笑い声を出した。
「碧には大事な人がいるって分かっていたから、駄目元だったけど。やっぱり悔しいものよね……」
「……そうでしたか」
「それに、碧ってば全然、私の想いに気付いてなかったわよ? まんまと波音に騙されたわ」
「へっ? う、うそ!? ごめんなさい……!」
あの碧が、渚の好意に気付いていなかったなど、あり得るのか。波音は必死になって謝った。
「だって、私の気持ちとかすぐに見抜いちゃうし。そういうところに、碧さんは鋭いんだろうって思ってて……」
「ものすごくびっくりした顔をされたわ。でも、『ありがとう。これからも曲芸団の一員として支えてくれ』って言ってくれたの。こちらとしては、手酷く振ってくれた方が助かるのに」
「それ、分かります。いっそのこと、嫌いになって忘れられたら……いつまでも引きずらなくて済みますよね」
「そうなのよ……! だから、碧の好きな人って誰だろうって考えていたんだけど。波音、あんたじゃないの?」
目をじっと覗き込まれながらそう言われ、波音は硬直した。渚には、冗談を言っている様子はない。アメシストの瞳に、波音の呆けた顔が映り込んでいる。