クールな御曹司の本性は、溺甘オオカミでした
「そう」
かろうじて出た言葉がそれだった。
正直に言って身体の内側は暴風雨が吹き荒れていた。
なぜ?なぜなの?この前の優しいキスは?あなたは私を好きなんでしょう?なんで諦めるなんて言うの?
私は……私だって……!
「そこで、ひとつ。最後にひとつだけ、お願いがあるんです」
千石くんが私を見つめた。その瞬間だけきらりと熱情が垣間見えた気がした。
「一度だけ……俺のものになってくれませんか?」
それは、抱かせてくれってこと?
一度だけ?
最後の思い出?
ふうん、そう。そうなんだ。虚脱感とともに私は彼を見つめ返していた。
どうして千石くんがそういう思考になったのか私にはわからない。
でも、そこにまだ気持ちがあることはわかった。
同情とか遊びじゃなく、恋心が束の間報われた瞬間がほしいのかもしれない。
諦める代わりに一晩。それが彼の恋の最後のページなら、私はそれでもいい。
「ようやく目が覚めたならいいことだわ」
私はわざとらしく余裕の笑顔を作った。
「勝手に好きになって、最後に一回とか随分な話。私の気持ちは最初から無視なんだから」
クスクス笑って見せると千石くんがすみませんと頭を下げた。
「いいよ、一度だけね」
「真純さん」
「一度だけだから」
自分に言い聞かせるみたいだった。心は虚ろで空っぽで、私は自分がどうやって立っているのかさえわからなかった。
かろうじて出た言葉がそれだった。
正直に言って身体の内側は暴風雨が吹き荒れていた。
なぜ?なぜなの?この前の優しいキスは?あなたは私を好きなんでしょう?なんで諦めるなんて言うの?
私は……私だって……!
「そこで、ひとつ。最後にひとつだけ、お願いがあるんです」
千石くんが私を見つめた。その瞬間だけきらりと熱情が垣間見えた気がした。
「一度だけ……俺のものになってくれませんか?」
それは、抱かせてくれってこと?
一度だけ?
最後の思い出?
ふうん、そう。そうなんだ。虚脱感とともに私は彼を見つめ返していた。
どうして千石くんがそういう思考になったのか私にはわからない。
でも、そこにまだ気持ちがあることはわかった。
同情とか遊びじゃなく、恋心が束の間報われた瞬間がほしいのかもしれない。
諦める代わりに一晩。それが彼の恋の最後のページなら、私はそれでもいい。
「ようやく目が覚めたならいいことだわ」
私はわざとらしく余裕の笑顔を作った。
「勝手に好きになって、最後に一回とか随分な話。私の気持ちは最初から無視なんだから」
クスクス笑って見せると千石くんがすみませんと頭を下げた。
「いいよ、一度だけね」
「真純さん」
「一度だけだから」
自分に言い聞かせるみたいだった。心は虚ろで空っぽで、私は自分がどうやって立っているのかさえわからなかった。