クールな御曹司の本性は、溺甘オオカミでした
この恋に対する“先”を私も千石くんも口にしなかった。千石くんには何か思うところがあるのだろう。婚約に対する言い訳も、私を諦めると言って再び会いにきた理由も口にしない。彼は私に言えないことがある。それをわかっていながら、昨夜私は彼に抱かれた。
私たちの恋は実らない。
「コーヒー、飲んだら帰りなさい」
大人の女は最後まで演じるべきだろう。私は自分のマグを傾けて、振り向いた彼に向かって微笑んだ。
「こういう遊びは、もう付き合わないわよ」
千石くんがゆっくりと立ち上がる。テーブルのマグを手に取り、熱いブラックコーヒーをひと口飲んだ。
「最後にします」
その言葉に胸が痛んだことは隠すつもりもない。
私は目を伏せ頷いた。
「真純さん、週明けにはわかることですがお先にお伝えします。俺は富士ヶ嶺を辞めます」
千石くんの言葉に、私は弾かれたように顔を上げた。
辞める?それじゃあ婚約は?
「関連会社や子会社に行くの?」
グループ全体の後継者なのだ。グループ企業で社長や副社長を任されることはあるだろう。
「そういうことではありません。富士ヶ嶺から離れます」
それじゃああなたはどこへ行くの?この会社の後継者の立場を捨て、どこへ行こうとしているの?
横手さんはどうするの?婚約はどうなったの?
「早いですが、水曜が最終の出勤日になると思います」
「……そう」
心に浮かんだ疑問は何ひとつくちにできなかった。それは私の恋心と一緒で、彼自身には関係のないことだから。
私たちの恋は実らない。
「コーヒー、飲んだら帰りなさい」
大人の女は最後まで演じるべきだろう。私は自分のマグを傾けて、振り向いた彼に向かって微笑んだ。
「こういう遊びは、もう付き合わないわよ」
千石くんがゆっくりと立ち上がる。テーブルのマグを手に取り、熱いブラックコーヒーをひと口飲んだ。
「最後にします」
その言葉に胸が痛んだことは隠すつもりもない。
私は目を伏せ頷いた。
「真純さん、週明けにはわかることですがお先にお伝えします。俺は富士ヶ嶺を辞めます」
千石くんの言葉に、私は弾かれたように顔を上げた。
辞める?それじゃあ婚約は?
「関連会社や子会社に行くの?」
グループ全体の後継者なのだ。グループ企業で社長や副社長を任されることはあるだろう。
「そういうことではありません。富士ヶ嶺から離れます」
それじゃああなたはどこへ行くの?この会社の後継者の立場を捨て、どこへ行こうとしているの?
横手さんはどうするの?婚約はどうなったの?
「早いですが、水曜が最終の出勤日になると思います」
「……そう」
心に浮かんだ疑問は何ひとつくちにできなかった。それは私の恋心と一緒で、彼自身には関係のないことだから。