キミへの想いは、この声で。

『うん。あんまりやってないけど、遊ぼう』


「うっしゃー!やろやろ!」


優乃ちゃんがテンション高く喜ぶなか、私は大事なことに気がつく。


あ、私……、ゲーム機持ってきてない……。


「ほい、茜。

俺のでよかったら、貸すよ」


私が持っていないことに気がついたのか、颯太くんが気前よくゲーム機を渡してくれた。


こんな些細なことで、胸がキュンと音を立てる。


『ありがとう』


受け取ったゲーム機を床に置いた私は、手話でありがとうと伝えた。


「茜。そっちじゃなくて、こっち」


──コツン。


颯太くんは私の手を取ると拳の形にし、自分の拳と私の拳をコツンと合わせた。


「な?」


フッと笑う颯太くん。


……あ、またキュンってなった。


……恋って、こんな感じなのかな?


その人にこんなにも心は振り回されるのかな?

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