覚悟はいいですか

《side 紫織》

明け方近く、私はぽっかりと目を覚ます

窓の外には有明の月がまだぼんやりと浮かんでいた

何時だろう?
スマホを探そうと身動ぎしようとして、下半身の妙な重だるさに気がつく

いつもと違う肌の感触、身体に巻きつく重みと温かさ…

「?」

慣れない感覚にふと自分が裸で寝ていた事に気づく
と、巻き付いていた腕に引き寄せられ、更に動きが封じられた

「紫織、起きた?」

「!」
突然かけられた低い声に肩が跳ね、数時間前のことが鮮明に甦って心臓の鼓動が早くなる

腰を抱く腕に力がこもり、
背中からうなじへ柔らかいものが押し当てられた

「れ、礼?…んあっ!」

大きな手のひらがお腹を撫であげ、胸を包みこむ
そのまま優しく揉みながら、背中をチロチロと這う濡れた感触に思わず声が出た

咄嗟に手を押さえて、止めようとすると

「だめ?」
と甘い声で聞かれた

「だ、だめ」
焦って答えるとふう~とため息を吐かれた

え、だめ?だめはダメなの?
息が上がって寝起きの頭は余計に混乱してしまう

すると礼の柔らかい髪がうなじに触れ、耳元で声がした

「ねぇ、リベンジさせて?」

「リベンジ?」何の?

「…紫織のこと、傷つけちゃったから」

「?」傷って?

「…最初は痛かった、でしょ?」

あ、傷つけたってそういう…

「…でも優しくしてくれたよ?」

恥ずかしいけど、礼が気にしてるようだから、素直に言ってみたものの

「当然でしょ?でも俺が俺を許せないの」

礼は納得いかないみたい…
好きな人に抱かれて愛されて、私は幸せだったけど…

あっ!え、じゃあリベンジって…!!

気づいた時には、礼が覆いかぶさってきて
< 141 / 215 >

この作品をシェア

pagetop