覚悟はいいですか

先程の会話を思い出し、モニターに再び集中する

ひときわ大きな画面には、郊外のとある林にある3階建の別荘と数人の人相が悪い奴らが映っている

昨夜の電話は兄からのもので、堂嶋公彦が私邸からこの別荘に移動した報告だった
その前に北斗組の事務所にもスーツを着た男が2人と見るからに軍属崩れと思しき外国人が5人入り、
入れ替わるようにしてこの別荘には組員のほとんどが集結していた

しばらく大人しくしていたが、急に動き出した
その意図はまだはっきりしない
今日は現状を確認して、今後の方針を兄と話し合うためにここにきた

モニターの画像は別荘近辺を遠隔監視システムを利用して撮影、鮮明化したライブ映像だ

時々、組員が見回りに来たり、見張りを交代する以外、今のところ動きは無い

そろそろホテルに向かう時間だ
こちらの監視を兄に託すため声をかける

「礼、頑張れよ」
兄が微笑みながら中指と人差し指をクロスして見せ、すぐモニターに戻る

一瞬あっけにとられたが、兄なりの応援に口元が緩んだ


踵を返し、自動ドアに向かおうとした時、内ポケットが震え出す
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