覚悟はいいですか
動きを止めた紫織の様子に、公彦は満足そうに笑みを深める
横向きのままベッドに倒れ伏している体の上に跨り、その曲線を確かめるように
頭から首筋、肩、腕へと手を這わせた
その手が手首を拘束するロープの上で止まる
「ああ。これはもう必要ありませんね」
そう言うと懐から折り畳みナイフを取り出し、ロープを切った
体を下にずらし、足首のそれも切る
紫織の目がぼんやりとナイフを見ていた
「痕になってしまいましたね…」
足首に愛おしそうに顔を寄せて頬ずりし、唇を押し付ける
ふくらはぎに添えた手は、徐々に太ももへとのびてきた
・・・いやだ、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い・・・
目の前の出来事を心が受け付けないせいで
思考は無限ループのように同じことをグルグルと繰り返す
「い、やあ……」
掠れたような声が微かに洩れた
目の淵に涙がにじみ、視界がぼやけ始めた時、
『紫織』
フッと礼の顔が浮かんだ